暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「それは子供の頃の話しだろ」
さすがに、谷口課長も納得できない様子で口をはさんできた。

「そうだな。子供の頃の大切な思い出だ。だからこそ、創介には奪われたくなかった」

私にとっても、圭史さんは初恋の人。
でも、それは思い出の中にしまっておくべき記憶であって、現実の恋愛感情とはまた違うもののような気がする。

「私の、せいですか?」

圭史さんの話が真実なら、私さえいなければ事件は起きなかったことになる。
凄く理不尽ではあるけれど、今回の原因は私なのかもしれない。
そう思うと体が震え出した。

「ごめんね、望愛ちゃん」
「どうして?私は圭史さんのことがずっと好きだったのに」

『圭史君は望愛の王子様』小さな頃からずっとそう思っていた。
死ぬかもしれないと思った川の中から助け出してもらった時から、その気持ち変わらない。

「君の王子様は俺ではないんだよ」
「え?」
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