暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「大丈夫なのか?」
「ええ、平気です」

私が目覚めているとは思わない桃ちゃんは出て行き、創介さんが仕事に戻ったところで私は目を開けた。
当然のように創介さんが心配して側に寄り添ってくれる。

「無理をするんじゃないぞ。これからしばらくは今まで以上に忙しくなるんだからな」
「ええ」
承知しています。

それでも、創介さんは私の仕事を減らそうしている。
きっと私が何を言ったって、創介さんは聞いてくれないだろう。
どれだけ近づいた気になっていても、桃ちゃんと創介さんのような関係にはなれそうもない。
今朝の圭史さんのこともあり、私は誰も信じられなくなっていた。

「どうした、難しい顔をして。そんなに圭史のことがショックだったのか?」
「そうですね。信じていましたから」

確かにショックではある。
でも、このモヤモヤした気持ちの原因は違うところにある気がする。

「仕事に戻ります」
さすがにいつまでもここにいる訳にはいかないと、私は副社長室のソファーから立ち上がった。

「いいからもう少しここにいろ。今日の仕事は高井桃に任せればいい」
「そんな訳にはいきません」
「いいんだよ、俺がいいって言うんだからいいんだ」

立ちあがった私は肩を押し戻され、私は再びソファーに座らされた。
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