暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「望愛、何か誤解していないか?」
「誤解?」

私のことを『望愛』と呼ぶように、桃ちゃんのことも『桃』と呼んでいるし、私よりもポンポンと遠慮なくものを言っている気がした。
それって、特別な人だってことだと思うけれど。

「高井桃は俺の妹だ」
「えええ」

嘘。だって、苗字が・・・

「両親が亡くなってすぐに桃は高井家に養女に出されたんだ。だから名字が違うが、実の妹だ」
「そんな話、誰も教えてくれませんでした」

一条本家の直系ならものすごいお嬢様ってことで、もっと話題になっていてもおかしくない。
私が遅耳なだけかもしれないけれど、誰からもそんな話を聞いた覚えはない。

「本人が一条家を嫌っているんだよ。だから俺にも反抗的だ」

ああ、なるほど。
そう言えば、創介さんのことになると桃ちゃんは辛口になるものね。

「納得したか?」
「はい」

ものすごい思い違いで妄想を暴走させて1人逃げ出しそうとしていたなんて、本当に恥ずかしい。

「もう二度と俺のことを無視るなよ?」
「はい」
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