暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「あら、望愛いらっしゃい。早いのね」
いつも以上に早い時間に実家を訪れた私に、母さんも驚いている。

いつもなら昼前にやって来て母さんの手料理を食べてから美愛と出かけることが多いけれど、今日は思うところがあり早い時間にやって来た。

「父さんって、まだいるんでしょ?」
「ええ、いるけれど。何か用なの?」
「うん、ちょっとね」

土日になるといつも碁会所に出掛けてしまう父さんとは、家を出てからは話す機会もなくなった。
成人した娘と父親なんてそんなものなのかもしれないけれど、今日は話したいことがあってやって来たのだ。

「どうした望愛、珍しいな」
台所にいた私に、ちょうど起きてきた父さんが声をかける。

「あのね、父さんに話があるの」
私はまだ眠そうな顔の父さんを促してソファーに座った。
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