暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「じゃあ、気を付けていくのよ」
「はーい」

少し心配そうな母さんに見送られ私と美愛は昼過ぎに家を出た。
桃ちゃんと待ち合わせした場所まではタクシーを使いそこからは桃ちゃんの運転する車に同乗する予定になっている。
私一人なら電車で行けるけれど、美愛に無理をさせる訳にはいかないからと一緒に出掛ける時はタクシーを使う。

「桃ちゃんから夕食は最近見つけたいいお店があるからそこでいいですかってメッセージが来ていたわよ」
「そうなの?私は気が付かなかったけれど」

性格も、口調も、行動パターンまでがよく似ている美愛と桃ちゃん。
最近では頻回に連絡をとっているらしく、私の知らないところで約束をしてることも少なくない。

「私が行きたかった店の近くにあるんですって」
「そう。私はどこでもいいわよ」

家を出てしまいあまり美愛と話す機会もなくなったし、創介との関係にわだかまりを持っている桃ちゃんと仲良くしたい気持ちもあって、私は時々三人で出かけている。
特別何が食べたいとかいうよりも、二人の楽しそうな顔を見ることで私はホッとするのだ。
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