暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
その後、副社長室は沈黙に包まれた。

「とにかく、企画部としてどういう判断をするのかをはっきりしてくれ」

話は以上だと、副社長が席を立つ。
つられるように企画部の3人も立ち上がった。

やっぱり副社長は鬼だ。
こんなに弱っている人たちの追い打ちをかけるようなことを言うなんて、最悪の上司。いくら結果主義とは言って、これは酷い。

「なあ君」
3人が部屋を出て行こうとした時、副社長が男性担当者を呼び止めた。

「はい」
足を止めて向き直り、何を言われるのだろうと不安げな男性。

「一緒に飲むのがそんなに難しいことか?」
「それは・・・」
「もちろんそういう関係になれと言っているわけではない。ただ、一緒に飲んで話を聞くことはできたんじゃないか?」
「しかし先方は初めから」
「たとえそうだとして、他に方法があったと思うがね」
まるで挑発するような言葉。

「しかし・・・」
男性が悔しそうに唇をかむ。

「部としてももう一度検討してみます」
空気を読んだかのように、部長が割って入った。

「結論は早い方がいい。一週間以内に頼む」
そう言うと副社長は自分のデスクに戻って行き、男性たちは出て行った。
< 24 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop