暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
それから四日後。
始業早々に企画部長たち三人がやって来た。

「失礼します」

部屋に入ってくると、部長を先頭に副社長のデスクに向かって横に並んだ三人。
どうやら長い話ではないらしい。
私はいつものようにドアの前に立ち様子をうかがっていた。

「先日お話した夏のイベントの件ですが、このまま続行できることになりました」

え?
一瞬声が出かかって、私は何とか飲み込んだ。

「どう決着したんだ?」
さすがに副社長も気になるらしい。

「私がもう一度先方と話をしました」
担当者が一歩前に進み出た。

「飲みに行く約束でもしたのか?」
「ええ、まあ」

嘘。
それはあんまり・・・

「もちろん一対一ではなくて部署のメンバー数人と相手のマネージャーも一緒にうちのホテルのレストランを予約しました」
「それで相手が納得したんですか?」
いけないと思いながら、私は自分を押さえられなくて言葉にしてしまった。

だって、先日の話では先方の目的は担当者との密会。
それを大人数の飲み会でごまかすなんて・・・

「事情は分かりませんが、急に向こうが軟化してきまして」
私の方を振り返りながら、男性担当者が説明してくれる。
「そう、ですか」
それは良かったとしか言いようがないけれど、話がうまく進み過ぎなような気もする。

「とにかく、イベントは続行なんだな?」
「はい。お騒がせしました」
返事をする部長たちの表情も明るい。

経緯については疑問もあるけれど、無事に解決してまずは良かった。
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