暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「例えば今回の、夏のイベントのキャンセルの件ですけれど」
「ああ、うん」
もちろん私は誰にも口外してはないけれど、こういう話の拡散は早くていつの間にかみんなが知っていた。
「あの場で副社長が担当者に同情するのは簡単なことです。『それは大変だったな』『仕方ないからこの企画はあきらめよう』と言えばみんな気持ちよかったはずです。でも、それでは会社に大きな損失が出る」
「それはそうだけれど・・・」
だからと言って担当者を追い詰める言い方をしなくてもいいと思う。
「自分があえて憎まれ役になったんですよ」
「え?」
予想外の言葉に声が止まった。
「その証拠に、あの後先方の事務所と直接交渉するようにと顧問弁護士やコンプライアンス部門に指示を出したって聞きました」
「嘘」
そんなこと私は何も知らない。
「本当です。谷口課長から直接聞いたので間違いありません」
「そんな・・・」
そう言えば、交渉がえらくすんなりいったなと不思議に思っていた。
副社長がそんな手配をしていたなんて・・・
それにあれだけ強い言葉で叱責したからこそ、担当者はもう一度交渉してみる気にもなった。
きっとそれも、初めから副社長の計算だったんだ。
「ああ、うん」
もちろん私は誰にも口外してはないけれど、こういう話の拡散は早くていつの間にかみんなが知っていた。
「あの場で副社長が担当者に同情するのは簡単なことです。『それは大変だったな』『仕方ないからこの企画はあきらめよう』と言えばみんな気持ちよかったはずです。でも、それでは会社に大きな損失が出る」
「それはそうだけれど・・・」
だからと言って担当者を追い詰める言い方をしなくてもいいと思う。
「自分があえて憎まれ役になったんですよ」
「え?」
予想外の言葉に声が止まった。
「その証拠に、あの後先方の事務所と直接交渉するようにと顧問弁護士やコンプライアンス部門に指示を出したって聞きました」
「嘘」
そんなこと私は何も知らない。
「本当です。谷口課長から直接聞いたので間違いありません」
「そんな・・・」
そう言えば、交渉がえらくすんなりいったなと不思議に思っていた。
副社長がそんな手配をしていたなんて・・・
それにあれだけ強い言葉で叱責したからこそ、担当者はもう一度交渉してみる気にもなった。
きっとそれも、初めから副社長の計算だったんだ。