暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
郊外の自宅からホテルまでは電車を乗り継いて40分。
ほとんど立ちっぱなしの満員電車は決して楽ではないけれど、体力に自信のある私にとっては苦でもない。
ホテルも客商売だからこの先は不規則な勤務時間になるだろし、毎日この時間の電車に乗ることもないだろう。そう思えば、いくらか気も楽になった。
「それにしても私に何をさせるつもりかしら」
流れる車窓に目をやりながら、無意識のうちにつぶやいた。
事前に送った履歴書には、体育大学卒業の学歴とできればインストラクターなどの体を動かす仕事がしたいと書いておいた。
ウェブでの面接でも元気と体力をアピールしたつもりだから現場に回してもらえるとは思うけれど・・・。
さすがにたった一度の面接と履歴書だけで採用してもらうからには細かなリクエストなんて言えるはずもなくて今日まできた。
仕方ない。たいして苦労もなく一条プリンスホテルに就職できるのだから、どんな仕事でも精一杯やろう。
ブブブ。
父さんからのメッセージだ。
『職場についたら谷口隼人さんを訪ねるんだぞ』
『はいはい、わかっています』
もう、この会話何回目だろう。
小学校に上がる前の子供でもあるまいし、一度言えばわかるから。
まあ、それだけ心配してもらっているってことなんだろうけれど、少し過保護だな。
『心配だから、着いたらメールをくれ』
「はあ?」
さすがにこれには声が出た。
『父さん、後3駅で着くから携帯は切るね。何かあれば必ずメールするから心配しないで』
父さんへのメッセージを送り、私は返信を待つことなく電源を落とした。
ほとんど立ちっぱなしの満員電車は決して楽ではないけれど、体力に自信のある私にとっては苦でもない。
ホテルも客商売だからこの先は不規則な勤務時間になるだろし、毎日この時間の電車に乗ることもないだろう。そう思えば、いくらか気も楽になった。
「それにしても私に何をさせるつもりかしら」
流れる車窓に目をやりながら、無意識のうちにつぶやいた。
事前に送った履歴書には、体育大学卒業の学歴とできればインストラクターなどの体を動かす仕事がしたいと書いておいた。
ウェブでの面接でも元気と体力をアピールしたつもりだから現場に回してもらえるとは思うけれど・・・。
さすがにたった一度の面接と履歴書だけで採用してもらうからには細かなリクエストなんて言えるはずもなくて今日まできた。
仕方ない。たいして苦労もなく一条プリンスホテルに就職できるのだから、どんな仕事でも精一杯やろう。
ブブブ。
父さんからのメッセージだ。
『職場についたら谷口隼人さんを訪ねるんだぞ』
『はいはい、わかっています』
もう、この会話何回目だろう。
小学校に上がる前の子供でもあるまいし、一度言えばわかるから。
まあ、それだけ心配してもらっているってことなんだろうけれど、少し過保護だな。
『心配だから、着いたらメールをくれ』
「はあ?」
さすがにこれには声が出た。
『父さん、後3駅で着くから携帯は切るね。何かあれば必ずメールするから心配しないで』
父さんへのメッセージを送り、私は返信を待つことなく電源を落とした。