暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
夕食後、久しぶりに2人になった時間。
美愛の部屋に押し掛けた私はベッドに潜り込んだ。
小さい頃はこうやって二人で寝ることも珍しくなかった。
夜遅くまで話し込んでいるのが見つかると母さんには叱られたけれど、美愛も私もこうしている時間が好きだった。

「ここしばらく、ずっと会えなかったね」
寂しそうに美愛が言う。

「仕方ないよ、あれだけ非接触を言われれば面会だってままならないわ」

私だって帰省のたびに、美愛の入院する病院へ面会に行った。
でもその度に病院の入口で止められて、会うこともできなかった。

「ごめん、望愛を呼び戻すことになって」
「そんなこと、いいのよ」
私は自分の意志で帰って来たのだから。

この春、酸素を携帯することを決心した美愛。
そのことによって体調は安定するけれど、常に酸素を携帯する不自由な生活を強いられる。
それでも、美愛は自宅に帰ってくることを望んだ。
同時に、たとえ短い時間であってもいいから私と共に暮らしたいと言い出した。
もちろん、最初にその話を聞いた時には驚いたし、戸惑いもあった。
それでも、私自身も美愛の側にいたい気持ちがあり、東京に帰ってきた。
そのことを後悔するつもりなない。

「私も美愛に会いたかったわ」
これは本心。

だって私たちは生まれる前から一緒だったのだから。
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