暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「そう言えば、すごい量の服ね。全部ブランド物でしょ?」

私が持って帰った大量の服が美愛にはよほど不思議だったようで、意味ありげに私を見る。
まあね、あんなに大量の服を上司に買ってもらったなんておかしな話だと私も思う。

「自分のせいで私の服が汚れたと思って責任を感じたんじたのよ」
実際副社長の責任ではないけれど、気にしているのは確かだろう。

「それにしたって、すごい金額よ」
「うん」
わかっているけれど・・・止められなかった。

やっぱり誰が見てもおかしいわよね。
御曹司の考えることは少しおかしい。
それでも断ることができなかった。

「人の言うことなんてちっとも聞かない人だし、強引だし、それにお金持ちだから多少金銭感覚が狂っているんだと思うわ」
「ふーん、その人が望愛の王子様?」
「はあ?王子なわけないじゃないのっ。あれは・・・・魔王よ」

そう、意地悪で俺様な副社長は魔王ってイメージがぴったり。
でも・・・実は苦労人だったのよね。
私は今日課長から聞いた話を思い出して、複雑な気持ちになった。

「フフフ、魔王か、会ってみたいわ」
「会わない方がいいって」

屈託なく笑う美愛を前に、久しぶりに幸せな気持ちになった。
沖縄での自由気ままな生活も好きだったけれど、やはりここが私の家。
家族がいることがありがたいと、私は実感していた。
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