暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「いつぶりだろうね」
「最後に会ったのは中学生の頃だから、10年以上になりますね」
「そんなにたつのか」
「ええ」

私は小中高とスイミングクラブに通っていた。
中学の終わりには自分の限界を感じて半分部活のような感覚になってはいたけれど、小学から中学にかけては強化選手クラスに在籍し、本気でオリンピックに出たいと思っていた。
そこで出会ったのが4歳年上だった圭史先輩。
泳ぐのが速かっただけではなく、勉強もできて誰にでも優しい圭史先輩はみんなの人気者で、私にとってもいつも背中を追いかけている存在だった。

「水泳はもうやめたの?」
「大学までは続けたのですが、今はまったく。でも去年までは沖縄にいたので年中海で泳いでいましたけれど」
「そうか、僕も高校までだったよ。今はジムで泳ぐくらいかな」
どこか懐かしそうに、圭史先輩は話してくれる。

そう言えば、大学は国立の有名校に行ったって噂で聞いた。
直前まで泳いでいたのにって、みんなで感心した記憶があるもの。
やっぱり圭史先輩はすごいなあ。
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