暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「一条プリンスホテルに勤めたんだって?」
「ええ」
なんで知っているんだろうと思ったけれど、そうか圭史先輩は重さんの親戚だった。

実は、私と圭史先輩はスイミングクラブで知り合う以前に出会っている。
それはまだ私が小学校にも上がる前の小さな頃、父さんに連れて行かれたパーティー。
年一度重さんが普段付き合いのある家の子供たちを招いて開いていたガーデンパーティーで、たくさんの子供たちが招待されていた。
大きなお屋敷と広い庭を使って、ごちそうを食べたり巨大なバルーン遊具が設置されたり、とにかく子供を楽しませるために志向がこらされていて、私も美愛も楽しみにしているイベントだった。
しかしそのイベントの中で、一度だけ私が転んでケガをしたことがあった。
子供同士が遊びで駆けっこをしていた時のアクシデントで誰が悪いわけでもなかったけれど、運悪く転んだ拍子に川に落ちた私は動けなくなった。
恐怖で声も出ずただ震えていた私を見つけ助けてくれた圭史先輩は、ずぶぬれで血まみれの私を負ぶって大人たちの所に連れて行ってくれた。
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