暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
ブブブ。
そろそろ病院が見えてきたころ、連絡していた病院からの着信。

「もしもし、一条です」
『創介君か?』
「ええ。先生、突然ですみませんがもう着きますので」
『到着したら、救急外来の入口に着けてくれ』
「わかりました」
『慌てなくてもいいから気を付けて来なさい』

事前に連絡がしてあったとはいえ、すでに診療が終わった時間だけにわざわざ待ってもらっているらしい。


それからほどなくして到着したのは、三鷹整形外科病院。
都内にある5階建ての大きな建物で、救急受け入れも行う病院だ。
言われた通り病院の救急入口に車を着けると数人のスタッフが待ち構えていて、車いすに乗せられた彼女はすぐに病院の中へと運ばれた。

「すみません先生」
「いいんだよ、創介君が僕に頼み事なんて珍しいからね」

わざわざ外まで出て待ってくれていたのは、三鷹整形外科医院の医院長。
俺を含めて代々一条家の人間を診てきてくださっているホームドクターだ。

「彼女が患者さんだね?」
「ええ、僕の秘書なんですが、パーティー会場で足をくじいたようなので」
「わかった、診察してみよう」
「お願いします」
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