暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「お呼びですか?」
五分と経たずに谷口秘書課長がやって来た。
「作成してもらった書類のデータが古くて使い物にならない。早急に作り直してくれ」
私の手元から取り上げた書類を、副社長が課長に差し出す。
「ああ、確かに一年古いデータが入っていますね」
「作成者は高井桃だ。注意しておいてくれ」
「わかりました」
「待ってください。高井さんは私ができないから手伝ってくれただけです。ですから悪いのは私でして・・・」
課長が一見しただけでわかる間違いにも気づかずに、副社長に提出したのは私だ。
「大丈夫だよ坂本さん。高井さんは副社長に怒られたくらいで落ち込まないから」
「でも・・・」
確かに、私が専属秘書になるまでは高井さんが副社長のサポートをしていたらしい。
若いのに優秀で、副社長も信頼して仕事を任せていたと聞いた。
だから、他の女性スタッフのことは「○○さん」と名字で呼ぶのに、高井さんのことだけは「高井桃」とフルネームで呼び捨てにする。それだけ高井さんを信頼しているってことだと思う。
でも・・・
「とにかく早く頼む」
「はい」
五分と経たずに谷口秘書課長がやって来た。
「作成してもらった書類のデータが古くて使い物にならない。早急に作り直してくれ」
私の手元から取り上げた書類を、副社長が課長に差し出す。
「ああ、確かに一年古いデータが入っていますね」
「作成者は高井桃だ。注意しておいてくれ」
「わかりました」
「待ってください。高井さんは私ができないから手伝ってくれただけです。ですから悪いのは私でして・・・」
課長が一見しただけでわかる間違いにも気づかずに、副社長に提出したのは私だ。
「大丈夫だよ坂本さん。高井さんは副社長に怒られたくらいで落ち込まないから」
「でも・・・」
確かに、私が専属秘書になるまでは高井さんが副社長のサポートをしていたらしい。
若いのに優秀で、副社長も信頼して仕事を任せていたと聞いた。
だから、他の女性スタッフのことは「○○さん」と名字で呼ぶのに、高井さんのことだけは「高井桃」とフルネームで呼び捨てにする。それだけ高井さんを信頼しているってことだと思う。
でも・・・
「とにかく早く頼む」
「はい」