暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る～花嫁候補のようですが、謹んでお断りします～

副社長が依頼した訂正書類は、一時間もしないうちに戻ってきた。

「単純な入力ミスだったようです」
と謝る課長。

これですべて解決かと思っていると、
「少し気が緩んでいるんじゃないか？」
突然説教じみた口調になった副社長が課長を睨んでいて、
「すみません、気を付けます」
課長も素直に謝っている。

「大体、こんな単純な作業で間違えられては困るんだよ。仕事は遊びじゃないんだからな」
「はい」

えっと・・・
そもそもこの書類は課長を介していないもの。
私や高井さんが叱られることはあっても、課長が注意される筋ではない。
それなのに・・・

「こんな書類一枚と思う気持ちがあるから、ミスが出るんじゃないのか？」

たとえミスがあったのは事実だとしても、さすがにこの言い方は酷い。
そもそも課長がいなければ、ここの業務は回らない。
副社長の仕事だって課長のフォローがあるからこそ成り立っているのにと、我慢できなくなった私は一歩前へと進み出ようとした。
その時、