イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。

なんだろう……。すごく、気持ち悪い。逃げなきゃ行けないんだろうけど足がすくんで言うことを聞いてくれない。



「失礼致しました。怖がらせてしまいましたね。では改めまして……皇聖奈お嬢様、お迎えに参りました」


「……お、迎え……?」



街頭の光に当てられてだんだんとその人の顔が見えるようになった。その顔を見て息を呑む。


だって、その人は……獅子堂さんじゃなくて、私のよく知っている人物だったから。



「真嶋、颯(ましまはやて)……なんでここにいるの……それにその格好はいったい?」


「覚えていただきありがとうございます。まさかこんなところにいらっしゃるとは。ずいぶん探しましたよ」



目の前にいる人物は私を見てにやりと笑う。


私は……なんでここにいるのかさっぱり分からず、呼吸が浅くなるだけ。この人には二度と会いたくなかった。


私を人間扱いしていなかった彼がなんでここにいるの。思い出したくないことが走馬灯のように流れていく。
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