イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。

「……はぁ、はぁ……ゆ、ずる……ゆずき……助け、て……はぁ……」



頭の中は混乱している。
なんで私のことをそんなふうに呼ぶの?


なんで私のことを探しているの?


それに……なんで紺スーツに白シャツ……?


もしかして……



「い、いやぁぁ!」


「皇聖奈様、参りましょう」



朦朧とする頭の中でなんとか意識を保とうとする。ヤクザの世界には階級があると柚琉に聞いた。1番下っ端の特徴は紺スーツに白シャツ。


そのことを思い出して、点と点が結びついた。


真嶋颯は……おそらく皇家の仲間。


足に力が入らなくて膝からガクン、と崩れ落ちる。だけどなんで真嶋颯がそっちの世界にいるの?


私と“同じ”はずじゃ……。



「ほら、おたちなさい。皇家の娘としてみっともないですよ。この私があなたに敬語を使ってるんです。怒らせる前にたった方が身のためですよ」



浅い呼吸を繰り返しているとコツコツとこちらへ向かってくる。
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