イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。

みんなに知らせないとこればかりは俺たちだけではどうにもならない。


俺は言われた通り聖奈を部屋のベッドまで運ぶとそっと離れる。


いつの間にか涙は止まっていて目頭が赤く腫れ上がっている。聖奈がこんなになるまで思い詰めているんだ。今日会った人物に相当なことをされたに違いない。


……許さねぇ。



「兄さん、聖奈ちゃん寝てる?」


「あ?」



聖奈の寝顔を見ていると柚月が部屋に入ってくる。



「目……泣いてたから、母さんがタオル持ってけって」



柚月はタオルをそっと聖奈の目の辺りにのせる。



「ねぇ、兄さん」


「なんだ」



数秒の沈黙の後、柚月が口を開く。さっきまで色んなことを考えていたのに今は全くと言っていいほど頭が回っていない。



「僕、皇賢太をつぶしたい。皇賢太だけじゃなく、皇組自体を無くしたい。そうしたら聖奈ちゃん喜んでくれるよね?」



ギリっと拳を握り、かすかに震えている。
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