イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。

ドクンドクンと心臓が大きく脈打つ。こんな気持ちになるのは人生で初めてだ。


こんなにも、壊れそうな女の子を見たことがあるだろうか。いつも強そうに見えるけど聖奈はちゃんとした人間だ。


俺の想像もつかない酷いことだってされただろう。


これが、大丈夫なわけないよな……。



「聖奈。無理して笑うな」



耐えきれなくなって聖奈を抱きしめる。


昨日よりも力がなくて、されるがままの聖奈。



「無理して、ないよ。お願い……今はちょっと離れて」


「……悪い」



抱きしめたけどすぐに離された。いつもなら抱きしめられてもそんな否定しないのに。


それが、ショックだった。



「ごめん……ごめんね。今はひとりにして欲しい。出来れば……しばらく学校とバイトも休みたい」



小さな体が震えている。


我慢してきたものをまだ我慢するかのように俺から顔を逸らす。
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