イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。
その途端騒がしかった廊下がしん、と静まり返る。
はは。
どいつもこいつも僕の機嫌を伺ってるなぁ……。そりゃ今までやってきたことが許される訳では無いけど勝手に僕についてきたのは君たちだからね?
やっぱり兄さんみたいな態度をとっとけば良かっな。
「はーい。じゃーね」
めんどくさくなった僕はその場から逃げるように早足で去る。
なんだよ。
なんでいつもこうなんだよ。父さんが社長ってだけでみんな僕に付きまとってさ。
無条件に接してくれたのは聖奈ちゃんだけだよ。
「……柚琉、ありがとう」
廊下を歩き、角を曲がろうとした時、聖奈ちゃんの声が聞こえたような気がした。
ハッとして足を止める。
聖奈ちゃん、今日から学校登校し始めたんだっけ。皇組との接触があってショックを受けていたけど気持ちが落ち着いたみたいで、バイトも学校も再開した。
まぁ、獅子堂くんと僕らの送り迎え付きだけど。