イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。
聖奈ちゃんに名前を呼ばれたような気がするけど振り向かずに外に出た。その間、アジトの部屋の中はシン、と静まり返っていて、責められているように感じた。
……聖奈ちゃん、怖がらせちゃったかな。
最近は笑顔も増えて毎日楽しそうにしていたのに、僕のせいで台無しになっちゃうとこだった。
自分の気持ちのことしか考えてない僕は最低だ。兄さんの方がよっぽど聖奈ちゃんのことを考えている。
聖奈ちゃんにも最近は当たりがきつかったかもしれない。周りが見えてなくて空気を悪くして。本当、情けない。
「はぁ……」
アジトから少し歩いた河原にきてため息をつく。
こんな僕は僕じゃない。いったい、どうしたらいいんだろう……。
「柚月!」
「え?」
河原についてしばらくたった頃、誰かに名前を呼ばれる。声が聞こえて後ろを振り向くと息を切らした聖奈ちゃんがいた。
なんで、ここに?