イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。
目の前で差し出される右手。
その手には大きな傷跡があり、目立っている。柚琉の手ではなく、お父さんの手。だけど、それを握りたいとは全く思わない。
むしろ恐怖でしか無かった。
今、柚琉から離れてしまえば二度と会えなくなるような気がして。
ぎゅっと柚琉と握る手に力を込める。
「……はぁ。頑固な娘に育ったものですね。それもこれもあの母親そっくり」
「お母さん……?」
「聖奈、コイツのことを見るな。絶対俺の手を離すなよ!」
お母さんの言葉が出てきて反応してしまう。私とそっくりって……どういうこと……?
柚琉に握られている手に力がこもる。
「おやおや。私に何も攻撃してこないんですね。聖奈もこちらに来ようとしない。それならば最終手段です。捕らえなさい!」
「「「はっ!」」」
「いやぁぁぁ!柚琉、柚琉!」
皇賢太はニヤッと笑うと掛け声を上げる。
それと同時にどこに隠れていたのかと疑うほどの黒ずくめの人が車の中に流れ込む。