イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。
私はいつものように教科書をカバンにしまい、教室を後にする。
誰も私が出ていったことに気づかない。
誰も私なんて気にしてない。
そんなことはもう慣れた。この世界で私は空気みたいな存在なのだから。
「やば。早く行かないと遅刻する!」
私はひとり、時計を見てつぶやいた。
急いで廊下を歩き、階段を降りる。いつもなら真っ直ぐに下駄箱に向かうが今日はそれをさせてくれなかった。
廊下の隅に青色の何かが落ちている。
見覚えのあるその落し物に不思議に思ってそろりそろりと近づく。周りには生徒がチラホラと見えたが落し物には気づいてない様子。
私はキョロキョロと辺りを見渡し、そっと“それ”を拾った。
「学生、手帳……?」
見覚えのあるそれは私の学校で使われている学生手帳だった。しかも私と同じ学年色の青。
ただの学生手帳なのにいけないものを拾ったような気がして心臓がバクバクと鳴っている。