イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。
だって大切な人がいつ居なくなるか分からないのだから。大切な人ほど奪われていくことを私はよく知っている。
だから、今日も私は柚琉との時間を大切にする。
こんな幸せが、もっと続けることができるように……。
***
春休みに入って数日がたったある日。
私は自分の部屋で宿題をしているとコンコン、とドアがノックされる音が聞こえた。
「はーい」
「……俺だ。入ってもいいか?」
返事をするとドアからひょっこり顔を出したのは柚琉だった。いつもなら遠慮なく入ってくるのに今日はなんだか控えめ。
どうしたんだろう、と思いながら首を傾げる。
「いいけど……。なんかあったの?」
「しっ。今日は聖奈と2人きりで過ごしたいから。柚月が来たら面倒だ」
ードキッ。
私が話しかけるといたずらっ子のようにシーっと人差し指を口に当てる。
ふたりきりで過ごしたい……。
そんなことを言われてドキドキしない女の子はいるのだろうか。