イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。

この文章を読んで初めて会った時の彼女の顔を思い浮かべる。


暗闇に負けないくらい、沈んだ顔をしていた。


ケンカを見られて驚いたけど彼女の表情を見てそっちの方が驚いた。まるで生きた心地のしない表情に。


そして柚月や俺に怖がる目。


小さくて弱々しい体。バイクの後ろに乗せた時にわかった細い腕。


今まで見てきた女の中でも1番酷い状態だった。



「……でもさ、聖奈ちゃん、可愛かったよね?生きることに絶望しながらも、一生懸命に生きてるんだなって感じた」


「……柚月、もしかして前から皇の顔を知っていた?」


「まぁね。父さんから送られてきた手紙の中にこっそり小さい頃の聖奈ちゃんの写真が入ってたんだ」



ニヤリと笑う柚月。


……こいつ……俺に隠してやがったな。手紙を見せなかったのはこのことか!



「なんで俺にそれを見せなかった!」



顔を知ってれば……もっと早くに見つけて助けてやれたかもしれない。
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