イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。
大きな手が私の口元に当たっていて、恐怖を覚えた。やだ……こんなとこで情けない感情出さないでよ。
抑えて、抑えて……。
ーガブッ!
「わぁぁ!いったーい!」
気持ちを落ち着かせようとしたけどできなくて、私は誤魔化すように彼の手に思いっきり噛み付いた。
昔の防御方法がこんなとこで役に経つなんて。
伊達にハンドバッグになってないんだから!
「ちょっと!痛いでしょ!かんじゃめっ!」
「それはこっちのセリフ!なんで私のことを急に攫うの!?柴崎柚月!」
手が離れた瞬間、後ろを振り向く。
そこにはやっぱり、想像した人物が。その人物は柴崎柚月。彼はフー、フーと私が噛んだところに息を吹きかけている。
「攫ってないよ!ただ、用事があるから呼びに来ただけでしょ?」
「…………」
いやいや、知らないし!
でしょって言われても私は何も知らない!