イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。

キャッキャと騒ぐ彼女達の声にかき消されてしまった。私が生徒手帳を持ったままその場で立ち尽くす。


完全に終わった……。



「そうなんだよねー。兄さんが無くしたのに探してこいってうるさくてさー。この辺に落としたらしいんだけどみんな知らない?」


「さぁ?知りません。見てないですね。そんなことより相変わらず兄弟仲がいいことですね〜」


「あはは。困ったなぁ」



これが柴崎柚月……噂には聞いていたけど本当に兄弟正反対なんだな。兄の柚琉は冷酷無慈悲だけどその双子の弟はチャラ男で遊び人として有名。


一卵性の双子らしいんだけど顔以外は全然似てない。まぁ、実際2人揃ってるところは見たことないけど。


……って、そんなことよりこれどうしよう……。


完全にタイミングを失った私は生徒手帳を握りしめる。目の前にいる人に返してもらうだけなのにそんなこともできない。


とりあえず、職員室にある落し物入れに入れてこよう。
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