イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。
うん。
そうしよう。最初からそうすれば良かったのになんで思いつかなかったんだろう。
私は回れ右をして職員室に向かった。
その間もバクバクと心臓がうるさくて、落ち着かせようと深呼吸を何度も繰り返す。
ようやくこの緊張から解放される……そう思った時、
ーパシッ!
「きゃっ!」
「ちょっと、君」
誰かに腕を掴まれた。その手は大きくてゴツゴツしていて。反射で振りほどこうとしたけどビクともしない。
私の緊張は最高潮に達した。
「もしかして、兄さんの学生手帳……」
「わ、私、何も知りません!何もしてないから……離してください……」
相手の顔を見ずに口から出た言葉。
正直怖くて怖くて仕方ない。相手はきっと柴崎柚月。声でわかった。
「え?あ、ごめん」
思わず反抗するようなことを言ってしまったけどあっさりと手を離してくれた。