イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。
「そ、それでは失礼します!」
「あ、ちょっと!?」
今がチャンスだ!と思ってその場からかけ出す。下駄箱に向かって思いっきり走って靴を履き替える。
まだ何か言いたそうな彼を残して私は学校を出た。
な、なんで私に話しかけてきたの……?
もしかして私が話しかけたのに気づいた?
いや……そんなわけないか。はぁはぁと荒い呼吸を繰り返す。なんだかすごい疲れた……。
話しかけられたことにびっくりして思わず走ってきてしまった。怒らせてないかな……。
「あっ!しまった!これ渡してない!」
学校を出て少しした頃。私は自分の手に持っている生徒手帳を思い出す。せっかくのチャンスだったのに返すタイミングをすっかり見失ってしまった。
今更学校に戻るもの嫌だしなぁ。
あんな雲の上の存在のような人と関わるなんてごめんだ。
きっと関わったらろくなことにならないだろう。