イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。
「そーだけど……なんか名前しか分からない女の子を探すのってめんどくさくなっちゃって。そもそも本当に皇組の娘なの?」
ゴロン、と横になり天井を見上げる。
無駄に広いこの家はほとんど僕と兄さん、あとは執事やメイドしか住んでいない。父さんと母さんは家にはいなくてほぼ海外に住んでいる。
「まぁ、俺も疑っているがな。まず見つからないと話にならない。そこはお前もわかっているだろう」
「そーだね。見つからないとだよね……」
ちらっと兄さんを見ながらつぶやく。
本当は兄さんに内緒でその女の子の写真を持っている。どうやら兄さんの手紙には届いていなかったらしく、僕だけが彼女の素顔を知っている。
「……柚月は本当に何も知らないんだな?」
ードキッ。
写真のことを考えていると僕を怪しんでいる兄さんが睨む。時々何か言いたそうに僕を見ていることはわかっていたけど、ここまで来ると隠すのもしんどいな。