イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。

「聖奈ちゃん。私はずっとあなたの事を知っていたわ。本当に……萌奈(もな)とそっくりね」


「……え?」



音桜さんから聞き覚えのない名前が聞こえた。


だけど音桜さんの見る目はどこか懐かしいものを見るような目。萌奈という名前が出てきてドキン、と心臓が反応した。



「萌奈は、優しくて、誰にでも平等で。だけど愛する人にはきちんと最後まで愛すと決めた。だから……あなたと萌奈は離れ離れになってしまったのね」


「う、……そ……音桜さん、それってもしかして……」


「そう。聖奈ちゃんのお母さんのお話よ」


「…………おかあ、さん……生きてるんだね……うっ……」



どうしよう。


せっかく涙が止まったのにまた涙が出てきちゃった。本当に情けない。


だけど……お母さんの話を聞けるとは思わなくて。


嬉しいやら悲しいやらで頭の中はぐちゃぐちゃだ。



「聖奈ちゃん……」


「聖奈。大丈夫だ」
< 91 / 227 >

この作品をシェア

pagetop