イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。

『私はこの人を愛するって決めたの。音桜には迷惑をかけるかもしれないけど、どうしてもこれは譲れない』



頑なに皇賢太と結婚するとだけしか言わなかった。


後でわかったことだけど元々萌奈の家はお金持ちで政略結婚で相手も決まっていたらしい。が、家の会社が倒産し、多額の借金を背負ってしまった。


そこで前から目をつけられていた皇家に借金を返す代わりに娘と結婚させろと話が来ていた。結婚しなければ家族ともに殺すとまで脅しながら。


そのことを知った私はもう胸が痛くて痛くてしょうがなかった。中学までは一緒だったけど卒業と同時に萌奈は忽然と姿を消した。


まるでさらわれたように、何も痕跡を残さずに。


高校に入学して萌奈を探し続けたけどその努力も水の泡。時間だけが過ぎていき、何も出来ないまま、高校生活が終わった。


その後、萌奈からは何も連絡がないまま。


私も結婚し、自分の家庭を持ちながら萌奈の行方をまだ探していた。
< 97 / 227 >

この作品をシェア

pagetop