薙野清香の【平安・現世】回顧録

「～～～～っ、さっきからキスしたり手を繋いだり……妙に私にちょっかいかけてきてるでしょ!?そんな適当に手を出せるほど、女子高生って手頃な存在じゃないのよ？」


　そう捲し立ててみても、崇臣の表情はちっとも変わる様子がない。冷静だった清香の心が再びざわつき始める。


（いけない……冷静に。あくまで冷静に話さないと）


　何度か深呼吸を繰り返してから、清香は再び崇臣へと向きなおった。


「もしも私や両親が訴えたらどうするの？ただ恋人が欲しいだけなら、ある程度年齢と恋愛経験を重ねた、割り切りのできる大人の女性を狙うべきよ。決して私みたいな未成年を相手にすべきじゃないの！わかる!?」

「わからん」


　清香が問いかけるとほぼ同時に、崇臣は即答した。あまりの切り返しの速さに、清香はガックリと項垂れる。


（わからんって何よ、わからんって）


　心の中でそう悪態を吐きながら睨みつけると、崇臣は真っすぐに清香を見つめ返した。


「おまえが生まれてくるのが遅かったというだけの話だろう？それで俺が何を遠慮する必要がある？」

「なっ…………！」


　深読みすれば、中々の口説き文句に聴こえる。