薙野清香の【平安・現世】回顧録
(デート?しかも崇臣と?……どうしてそうなった?)
確かに清香は、これからはもう少し他人と向き合うと伝えた。実際そうしようと誓った。それは確かだ。
だが、崇臣と向き合うとは一言も言っていない。
混乱の渦中にある清香に、芹香は更に追い打ちを掛けるように言った。
「え?だってお姉ちゃん、崇臣さんのことが好きなんでしょ?」
「どうしてそうなった!?」
二度目の疑問は口をついて出た。愛しい妹の盛大な勘違いに、清香はぐっと眉間に皺を寄せる。けれど芹香は清香の気も知らず、ケラケラと楽しそうに笑い声をあげた。
「良いから良いから!この芹香さんに任せなさいって!」
「芹香?それは勘違いが過ぎるわよ!ちょ、芹香ってば!」
自分のスマホを片手に、鼻歌交じりで部屋を後にする芹香を、清香は呆然と見送ることしかできない。
(冗談だと思ってたのに)
崇臣が、芹香と東條が“崇臣との関係を妙に勘繰っている”と言っていたが、清香としてはリップサービスの一つぐらいに思っていた。まさか、本気で勘違いしているとは思いもしなかったのである。
清香は唇をギザギザに引き結ぶと、ガックリと項垂れた。
確かに清香は、これからはもう少し他人と向き合うと伝えた。実際そうしようと誓った。それは確かだ。
だが、崇臣と向き合うとは一言も言っていない。
混乱の渦中にある清香に、芹香は更に追い打ちを掛けるように言った。
「え?だってお姉ちゃん、崇臣さんのことが好きなんでしょ?」
「どうしてそうなった!?」
二度目の疑問は口をついて出た。愛しい妹の盛大な勘違いに、清香はぐっと眉間に皺を寄せる。けれど芹香は清香の気も知らず、ケラケラと楽しそうに笑い声をあげた。
「良いから良いから!この芹香さんに任せなさいって!」
「芹香?それは勘違いが過ぎるわよ!ちょ、芹香ってば!」
自分のスマホを片手に、鼻歌交じりで部屋を後にする芹香を、清香は呆然と見送ることしかできない。
(冗談だと思ってたのに)
崇臣が、芹香と東條が“崇臣との関係を妙に勘繰っている”と言っていたが、清香としてはリップサービスの一つぐらいに思っていた。まさか、本気で勘違いしているとは思いもしなかったのである。
清香は唇をギザギザに引き結ぶと、ガックリと項垂れた。