薙野清香の【平安・現世】回顧録
「そっか」
呟きつつ、清香はそっと目を細めた。そう言ってもらえると何やら救われたような気分になる。ほんの少しだけ、清香は自分自身を許すことができた。
「因みに……俺も最近、えらく楽しいぞ」
崇臣はそう言って、意味ありげな笑みを浮かべた。
「へ?」
聞き返しながら、清香が崇臣を見上げる。色素の薄い瞳が、じっと清香を見つめていた。
おさまったはずの清香の心臓が、再びザワザワと騒ぎ始めた。崇臣はなおも、意地悪い笑みを湛えて、清香を見つめ続けている。
「へっ……へーーーー!そりゃあ羨ましい限り」
清香はパッと前を向くと、パソコンのモニターを凝視した。心臓がバクバクと早鐘を打っている。これ以上崇臣の視線を直視するのは危険だと体のどこかで警報が鳴っていた。
前を向いていて定かではないが、崇臣の視線が自身へと向けられているのを感じる。
(落ち着かない)
ペチペチと頬を叩きながら、清香は必死で、崇臣の言葉や視線の意味を考えないようにした。
呟きつつ、清香はそっと目を細めた。そう言ってもらえると何やら救われたような気分になる。ほんの少しだけ、清香は自分自身を許すことができた。
「因みに……俺も最近、えらく楽しいぞ」
崇臣はそう言って、意味ありげな笑みを浮かべた。
「へ?」
聞き返しながら、清香が崇臣を見上げる。色素の薄い瞳が、じっと清香を見つめていた。
おさまったはずの清香の心臓が、再びザワザワと騒ぎ始めた。崇臣はなおも、意地悪い笑みを湛えて、清香を見つめ続けている。
「へっ……へーーーー!そりゃあ羨ましい限り」
清香はパッと前を向くと、パソコンのモニターを凝視した。心臓がバクバクと早鐘を打っている。これ以上崇臣の視線を直視するのは危険だと体のどこかで警報が鳴っていた。
前を向いていて定かではないが、崇臣の視線が自身へと向けられているのを感じる。
(落ち着かない)
ペチペチと頬を叩きながら、清香は必死で、崇臣の言葉や視線の意味を考えないようにした。