魔法にかけられて。
「……好き。」


その言葉を発した途端、
グイッと体が引き寄せられ、
彼の体にすっぽりと収まってしまう。

彼の匂いに混じって、
微かに速度のある心臓の音が聞こえてきて、
同じ気持ちだとわかると
少しだけホッとする。


「俺も、
美那穂ちゃんに魔法かけられちゃった。

すごく今、幸せだよ。」

「うん、私も。」


そっと彼の背中に手を回し、
少しだけ力を入れて抱きしめる。

いまだに実感は湧かないけれど、
今はただこうしていたい。

彼の温もりと幸せを感じながら、
私は目を閉じた。

-end-
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