魔法にかけられて。
「ちなみに、
チョコは何人からかは渡されたよ。」


「やっぱりモテモテだね。」


「そんなことないよ。
結局、受け取ったのは
美那穂ちゃんからもらった
2種類のチョコだけだから。」



その言葉を聞き、
パッと顔を上げて彼の顔を見ると、
彼もまた同じように
私の顔をじっと見つめていた。

その顔の表情が優しげで
少し嬉しそうに見えて、
先程やっと落ち着いたはずの心臓が、
またドキドキと速度をあげる。



「美那穂ちゃん。」


名前を呼ばれ、足を止める。

悠希くんは手を伸ばし、私の頬に触れた。

ひんやりと冷たい彼の手が、
火照った頬には心地よい温度に感じる。
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