魔法にかけられて。
そう言いながら優しく頬を撫でる彼。

触れられる側は心臓がいくらあっても
足りないということを
理解していないようで……
やられっぱなしで悔しくなった私は、
頬に触れている彼の手に私の手を重ねて、
僅かに開いた指の隙間に自分の指を絡め、
ぎゅっと握った。

すると、
彼はぐりんと顔を90度横に向け、
私から視線を逸らす。



「さっきまで、
ぎゅーって抱きしめてきてたのに。

こっちの方が恥ずかしい?」


「自分からするのと、
キミからされるのじゃ話が違うでしょ……?」
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