砂嵐のいたずら
「早く!ベルトをして!」
私は彼のシートベルトを無理矢理装着した。
『やめろ!
私に触るなと言っただろ?何でベルトをしなければならないんだ!
ベルトサインなんて出てないじゃないか!』
彼はベルトを外そうとした。
「外さないで!私の言うことを聞いて!」
彼ともみ合っているうちに、機体の前方から爆発音が聞こえ、爆風とともに機体の破片が飛んできた。
飛行機が急降下していく…
機内では悲鳴や叫び声が聞こえ、まるで地獄絵図のようだ。
酸素マスクが降りてきても体が言うことをきかない。
薄れゆく意識の中で思った。
私、死ぬのかな?
飛行機が落ちたら、普通、死ぬよね。
パパ…
ママ…
もう一度、あなた達に会いたかった…