砂嵐のいたずら



あーあ、見つかっちゃった…。



私って、つくづく運に見放された女だよね…。



「ちょ…ちょっと月が綺麗だから見たくなっただけ…逃げたりなんてしないわよ。」



そう言って、彼の手を払って行こうとすると、



『私も行く…』



彼は私の手を引いて、乗客のいるエリアから少し離れた場所へと移動し、砂の上に腰を下ろすと、私を引き寄せ、隣に座らせた。



あれほど私のことを嫌っていたのに、抱き上げたり、手を引いたりして、いったいどうしたのだろう…?



『見てごらん、綺麗だ…』



青白い月の光に照らし出された砂漠はとても幻想的で、自然の美しさ、厳しさ、強さをこの目で見、肌で感じた。



私は頬を伝う涙を拭うこともせず、月に照らされた砂漠に見入っていた。




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