砂嵐のいたずら



私は空に浮かぶ月を見上げると、目を閉じ、深呼吸をした。



月よ、私に力を与えてください…そう願いをこめて。


「私が死のうと思った理由…信じていた人に裏切られたから…でもそれは、すべて私がまいた種なの。」



彼は何も言わず、頷いた。


「付き合っていた彼氏に浮気されて、おまけに相手の女の子が妊娠しちゃって…かなりの修羅場でね。

でも私、彼も相手の女の子も責めることができなかった。

私は仕事でずっと日本にいて、彼のことを構ってあげられなかったから。

離れたくらいで崩れ落ちてしまう程度の関係しか作れなかった自分の責任…としか言いようがないんだよね。」





< 25 / 137 >

この作品をシェア

pagetop