砂嵐のいたずら
『あのさ、もうキミは十分強いと思うんだけど?』
彼はそう言うと、自分の左頬に手を当てた。
「ごめんなさい…痛かったでしょ?」
彼は頬をさすりながら、
『あぁ、痛かったよ。
そういえば、さっき好きにしろと言ってたよな?好きにさせてもらうぜ。』
青白い月の光を受けた彼の顔は妖しいほどに綺麗で、私は何かにとり憑かれたように彼を見つめていた。
彼は握っていた私の手を痛いほどに強く握って、私を引き寄せた。
殺されるのかもしれないのに、抵抗することができない。
ううん、何故かしなかった。