砂嵐のいたずら
『いい子だ…』
彼の息づかいで、顔が近づいてくるのがはっきりとわかる。
あぁぁぁぁぁぁぁ!!!
どうしよう!!!
ズガーーーン!!!
間近で耳を劈く(つんざく)ような銃声が聞こえ、思わず目を開けた。
『ミッション終了!』
彼は懐に拳銃をしまい、さっきまで甘い囁きをしていたとは思えないくらい、ドスのきいた低く鋭い声で、どこかに連絡をしていた。
振り返ると、ひとりの拳銃を持ったアジア系の若い女性が心臓を撃ち抜かれ、倒れていた。
どう見ても、即死状態…
あの人、さっき骨折の治療をした人だ。
副え木代わりの雑誌と彼がしていたネクタイが何よりの証拠。
でも、何故こんなことに…