砂嵐のいたずら
彼は、私の話に頷くと、
『キミはいい環境で勉強をしていたんだね。私もこういったところで学びたかった。』
しばらくふたりで歩いていると、
『Excuse me,Could you take a picture for me, please?』(すみません、写真を撮ってもらえますか?)
初老の夫婦に声をかけられた。
「Ok,are you Japanese?」(いいですよ、あなたは日本人ですか?)
私が聞き返すと、
『Yes.』
と、男性が答えた。
男性からデジカメを受け取ると、
「どこを押したらいいですか?」
突然の日本語に男性は一瞬驚いたけれど、
「はい、撮りますよ~!」
言葉が通じて安心したのか、ふたりともいい笑顔で写真が撮れた。
ご主人は学生の頃、この大学に短期留学をしていたそうで、今年、定年退職をして、思い出の地にご夫婦で足を運んだのだそうだ。
別れ際に、綺麗な日本語を話す外国人に会えて良かったとご夫婦は喜んでいた。
私はふたりの姿を見送りながら、何だかいいことをしたみたいで、気持ちが良かった。