ファンタジック・バレンタイン
「じゃ、このお店は全部見たから、別のお店で探してみようか?」



それから私とナコちゃんは、他の店を回ってみた。



お菓子だけを売っているチェーン店、大きなスーパーマーケットのお菓子売り場、小さな駄菓子屋にも行ってみた。



けれどネコのチョコレートはどこにも売っていなかった。



空はもう暗く、これ以上小さな女の子を連れまわしたらご家族に叱られそうだ。



「ねえ、ナコちゃん。他のチョコで手を打たない?」



けれどナコちゃんは悲しそうに首を横に振った。



私は駅の裏にある小さなケーキ屋を思い出した。



「じゃあもう一か所だけ探しに行ってみようか。そこでなかったら別のチョコで我慢しよう?」



そう私が言うと、ナコちゃんは渋々首を縦に振った。

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