ファンタジック・バレンタイン
お金を払い店の外へ出ると、北風がぴゅうと吹き、黄色い木の葉が砂ぼこりと共に舞った。



「もう真っ暗だね。これは明日、彼にあげたらいいよ。」



私はその白い箱をナコちゃんに渡そうとした。



「それはななちゃんが持ってて。」



「うん?」



「ななちゃん。家まで送ってくれる?」



「うん。いいよ。」



たしかにこんな暗い中、ランドセルを背負った女の子がひとりで歩くのは危険だ。



「じゃあナコちゃんのお家まで案内してくれる?」



「うん。付いて来て。」



私はナコちゃんの手に引かれて、駅から少し離れた住宅街まで歩いた。


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