ファンタジック・バレンタイン
「中、見てもいいか?」



高梨君はうつろな顔で白い箱を見た。



「もちろん。ナコちゃんは高梨君へあげたいって言ってたんだから。」



高梨君は恐る恐る、箱を開けた。



そして中のチョコレートドーナツケーキをじっとみつめた。



「ネコのチョコレートケーキ・・・」



「ナコちゃん。ネコのチョコレートに拘ってた。それでね・・・」



私はナコちゃんの大切な想いが高梨君の心へ真っすぐ届くように心を込めて告げた。



「ナコはミミと一緒に幸せに暮らしてるって。だからお兄ちゃん、もう泣かないでって。そう言ってたよ。」



その言葉に高梨君は顔を下に向け、嗚咽を漏らした。



「・・・そっか。ナコはミミと一緒にいるんだな。ひとりぼっちじゃないんだな。安心した。」



私はそんな高梨君をそっと見守った。



「ナコ・・・ナコ・・・」

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