ファンタジック・バレンタイン
体育祭の日、運が悪い事に私は生理の二日目で、体調が悪かった。



係の仕事中、お腹が痛くなり、体育倉庫でうずくまっていたら、高梨君がそんな私に気付いてくれた。



「おい。米山、大丈夫か?」



高梨君は保健室まで私をおぶって運んでくれた。



その大きな背中の温かさを、私は今でも忘れることが出来ない。



保健室のベッドで横になりながら、私はお腹の痛さよりも、自分の胸のドキドキの方に気を取られていた。



体育祭が終わったあとも、高梨君は私の様子を見に、保健室へ顔を出してくれた。



高梨君は私に温かいペットボトルのお茶を手渡した。



「身体温かくして、家に帰ったら今夜は早く休めよ。じゃあな。」



「・・・うん。ありがとう。高梨君。」



そう私が言った時、高梨君はいつもの無表情な顔をくしゃりと緩め、照れ臭そうに微笑んだ。

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