ファンタジック・バレンタイン
ナコちゃん
結局のところ、私は高梨君のプチストーカーでしかなかった。



心の中では高梨君、私のことウザく感じていたのかもしれない。



「はあ。」



三回目のため息を吐き出した時、いきなり隣のブランコから声がした。



「暗い!」



「へ?」



ふと横をみると、小さな女の子が私を呆れた顔でみつめていた。



さらさらの長い髪、赤いほっぺ、白い肌、そしてモコモコの白い長袖ワンピース。



小学校低学年くらいだろうか?



背中には赤いランドセルを背負っている。



「お姉ちゃん、暗いよぉ。せっかくの可愛いお顔が台無し!」



「・・・可愛くなんかないよ。私なんて地味だし目立たないし、本ばかり読んでる陰キャだし。」



「駄目だよぉ。そんなネガティブ思考じゃ。この生き馬の目を抜く世の中を渡っていけないよ!」



「・・・随分、難しい言葉知っているんだね。」



「まあね。他にも色々知ってるよ?人間万事塞翁が馬、とかね。」



女の子はふんっと鼻から息を出し、どや顔をしてみせた。
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